作者が伝えたいことをつかむ

テーマ2 翻訳に一番重要な事・大切な事

最近どうやっていい翻訳を作るかと聞かれた。よく考えて、次のような答えを思いついた。いい翻訳を作るには原文の作者が伝えたいことをつかんで、それを自然な対象言語に直すことだ。第一歩は原文の作者が伝えたいことをつかむことだ。

翻訳とは原文の言語の言葉を対象言語の言葉に置き換えることだと思う人がいるかもしれないが、作者が伝えたいことをつかまないと、正しく翻訳できない可能性がある。原文の言語の言葉と同じ意味を持つ対象言語の言葉を使っても、文の意味が伝わるとは限らない。
簡単な例は慣用句だ。慣用句はイメージを作って、そのイメージで意味を伝える。例えば、「油を売る」という慣用句を例として考えれば、それは油の販売とは関係ない。作者が伝えたいことは「仕事を怠ける」ということだ。言葉の意味は文脈によって違うため、言葉自体ではなく、意味が大切だ。

原文の作者が伝えたいことが分かったら、自然な対象言語の言葉に直さなければならない。いい訳文は翻訳された文という感じがない。対象言語のネイティブスピーカーが訳文を読んだ際に、その文が訳文ではなく、ネイティブスピーカーが一から書いたと思うような文でなければならない。そうするには、言葉を加えなればならないか削除しなければならないこともある。
例えば、日本語では、ものをはっきりと言わなくても文脈でわかることが多い。しかし、英語では、文脈に任せることはできず、はっきりと言う必要がある。特に主語や目的語がそれにあたる。

いい翻訳を作るには原文の作者が伝えたいことをつかんで、それを自然な対象言語に直すことが必要だ。


得意分野:経済・金融ビジネス大学案内
対応言語:日本語→英語
翻訳歴:15年以上 *NAIwayに登録された年を基準に表記

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