【書籍】学問をポケットに
しょ せき【書籍】
文章・絵画などを筆写または印刷した紙の束をしっかり綴 (と) じ合わせ、表紙をつけて保存しやすいように作ったもの。本。書物。図書。
- 英語books
- 中国語图书(簡体字); 圖書(繁体字)
- 韓国語서적
- マレー語buku
- フランス語livre
- ドイツ語Buch
- イタリア語libro
参照元:weblio国語辞典、goo国語辞書、Glosbe
私の好きな書籍シリーズの一つに「講談社学術文庫」があります。講談社が小難しい学術論文でもポケットサイズの文庫にして広く大衆に読まれるならば、その中から象牙の塔には居ない市井の才能と幸運な巡り合いがあるはずとの、高邁な思想で発刊し続けているものです。
私がこの文庫シリーズに出会った最初は、徳永恂大阪大学名誉教授の「ヴェニスからアウシュヴィッツへ」でした。これは和辻哲郎文化賞を受賞された『ヴェニスのゲットーにて』を文庫版にしたものです。ナチスのユダヤ人に対する信じがたい凶行の下地が、欧州世界に長い歴史を経て積み上げられてきたものであることを、丁寧な取材と論理的な解説で明らかにしてくれています。
このトピックをご覧の皆様には有名な書籍なのかも知れませんが、メルヴィン・ブラッグ著「英語の冒険」も印象深い一冊でした。特にThe Norman Conquest of England後の英国について、世界史の通り一遍の理解しかなかった私に、「英語と言う言語の生き残りの戦い」と言う切り口は大変鮮やかでした。
私事ながら、帰国子女の愚息が日本の学校で「皿」の英訳を「plate」と書いて×を食らった(先生の正解は「dish」)出来事があり、当時は息子も私も「先生の英語のボキャブラリーが足らないんじゃないの?」と逆恨みをしてましたが、本書読後は、先生は英語の苦闘の歴史を良くご存じで、仏語由来の「plate」の意味を息子に考えるチャンスを下さったのだと、自分たちの無知を恥じ入った次第です。
私はけして出版社の回し者ではありませんが、書物に接する機会が少なくなったと言われる現代で、岩波文庫と並んで珠玉のような一冊がある事をボランタリーにちょっと宣伝させて頂きます。
2019.02.01